PRP療法

■PRP療法とは

当院では2021年5月より本治療を開始し、2024年5月時点で100例以上の実績があります。

PRP(Platelet Rich Plasma)とは「多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう)」といって、組織の修復を促す種々の成長因子を含んでいるとされる血小板の濃縮液を活性化したもののことを指します。PRPを患部に投与することで、痛みを和らげたり炎症を抑えたり怪我の治癒を促進したりすることが期待できます。

さらに、PRPには白血球を少量含んだLP-PRPと白血球を多量に含んだLR-PRPがあります。当院では病態に応じていずれか選択して投与しております。

整形外科分野では関節疾患に先行して腱・靱帯に対する治療の有効性が認められると共に、スポーツ選手の早期復帰を目的とした治療として進歩してきました。米大リーグの田中将大選手や大谷翔平選手が肘の怪我に対してPRPを受けた話は有名かと思います。後述しますがPRPの効果については個人差があると言われておりますが、既存の治療では"もはや手術しかない"と思われていた方々において、手術の前に個人が本来持っている治癒能力や組織修復能力・再生能力を最大限に引き出す本治療を受けてみるのも希望ある選択肢ではないかと思っております。

※注意点としてPRP治療やそれに準じた治療は欠損した軟骨を再生させることはできません。あくまでも炎症を抑えること、損傷組織の早期回復等治癒能力を高めることが目的です。

 

■PRPはこんな方におすすめ

    • 膝や肘の痛みが続いている
    • 長引く腱や関節の痛みを減らしたい
    • 効果が長続きする治療を受けたい
    • できるだけ手術を受けたくない
    • スポーツにより早く復帰したい

 

■PRPの長所 

損傷した組織の治癒・修復が促進されることが期待されます。その結果、患部の疼痛の軽減や、損傷した組織の修復が見込まれます。

この治療のための入院・手術は不要で、通いながら治療を受けることができます。また、患者様ご自身の血液を使うため、アレルギーや感染の可能性は極めて低く、安全性の高い治療です。実際に、これまでにPRPを注入した際の重篤な副作用は、これまでの国内・海外の文献を見ても報告されていません。

 

■PRP療法実施の流れ

①採血 ②遠心分離 ③PRP抽出 ④患部へ注入

4つのステップで30分ほどで提供可能です(医師の判断によります)

 

「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」の届出内容

この再生医療を医療機関で提供するためには審査を経て厚生労働省に受理され、計画番号を取得する必要があります。

第2種 変形性関節症に対するPRP関節内投与 計画番号:PB4210002
第3種 創傷治癒を目的としたPRPの関節外投与 計画番号:PC4210004
特定細胞加工物施設 施設番号:FC4200042

当院は上記のように細胞培養加工施設として認可されており、採血からPRP作成、投与まで全てを院内で行うことができるため採血した同日に投与可能です。

さらにPRP治療は施設によって10万円~30万円前後と価格に幅がありますが、当院では外部への委託がないために提供価格も抑えることができています。

 

■治療費用

関節内 治療      45,000円(税込)
筋、腱、靭帯 治療   30,000円(税込)

■PRPの安全性は?

患者さんご自身の血液を使うので副作用が少なく、安全性が高いことがわかっています。
採血という手順が加わる以外は、ヒアルロン酸の関節内注射と針の太さや薬液の量も変わらず、PRP特有の副作用はこれまで報告されていないとみられています。

 

■PRPのデメリットはありますか?

    • 保険適用にはならず自費診療であるこで患者さんの治療費の負担が大きくなること
    • 抽出される成長因子の質や効果には個人差があり、それによって治療効果に個人差が出てくること
    • 感染のリスクを完全にゼロにできるわけではないこと
    • PRP投与後に痛みや腫れなどが一時的に起きることがあること(48〜72時間以内に治まってきます)

 

 

■投与すればすぐ効果がありますか?

即効性がある場合もありますが、通常は1~2週間かけて少しずつ効いていきます。早い段階から炎症を鎮めることができますが、傷や組織を修復するにはもう少し時間がかかるとみられています。

まだ解明されていない部分が多いことも事実ですが、関節疾患に対して明らかな抗炎症効果があり、関節内の環境を整えることで痛みを減らすこと、ヒアルロン酸より効果が高く、効能も長く続くという研究結果が発表されています。

 

■継続的に投与する必要はありますか?

最近の報告では、1回だけよりも2~3回の方が良好な結果であるというデータもあります。数ヶ月から半年に1回実施することで、抗炎症効果が長期間にわたって持続することがわかっています。

 

■PRPについてさらに詳しく 

Q. ステロイド剤を服用しています。受けられますか?

A. 施術の2週間前から服用を中止する必要があります。処方していただいている医師に、中止が可能かあらかじめご確認ください。

Q. 痛み止め(消炎鎮痛剤)を服用しています。受けられますか?

A. 施術の1週間前から服用を中止する必要があります。処方していただいている医師に、中止が可能かあらかじめご確認ください。

Q. 治療を受けられない場合がありますか?

A. がんで治療中の方、活動性炎症疾患(リウマチ、膠原病など)で治療中の方、1カ月以内に本治療を受けたことのある方、重篤な合併症(心疾患、肺疾患、肝疾患、腎疾患、出血傾向、コントロール不良な糖尿病・高血圧など)を有する方、薬剤過敏症の既往歴のある方、変形の高度の方。そのほか詳しくは医師にお尋ねください。

 

この三枚の画像は院長の股関節MRIです。

長年、スノーボード等のスポーツを楽しんできた間に股関節唇損傷という状態になり、
激しい運動後は股関節に痛みを伴うようになっていました。
そんな中、産業医大若松病院スポーツ整形外科で勤務させて頂いている期間にたまたま股関節痛が悪化。
安静時も痛みを伴うようになりました。
同院では以前よりPRP治療の実績があったため、これを機に股関節にPRP治療を受けさせて頂きました。

治療の数日後から股関節の痛みは軽減し、約2週間後からランニング等の運動を再開することができました。
その後の経過も良好で、数年経った現在も趣味のスポーツを楽しめております。

PRP治療の効果は本人の治癒力に依存するため個人差があると言われています。
しかし、手術しか方法がないと言われる怪我や疾患においては試す価値がある治療と考えています。

当院で行なっている
・積極的運動療法(機能不全の改善)
集束型衝撃波治療
オーダーメイドインソール
高濃度ビタミンC点滴等の抗酸化療法
これらとPRP治療を組み合わせることで、一歩進んだ保存療法を行なえるのではないかと期待しております。