📘PPトレーニングはクイックネス(筋の立ち上がり速度)も向上させる

本記事は、アメリカスポーツ医学会(American College of Sports Medicine)の公式誌である「Medicine & Science in Sports & Exercise ®,Vol.35,No.6,pp.1033-1041」2003年号で発表された試験の要約である。

PPトレーニングが12週間で従来型筋力トレーニングと比較して筋力と垂直跳び高を増大させる
対象:トレーニングを積んでいない67名の健常女性(21.4±1.8歳)。12週間(3ヶ月間)週3回のトレーニング

A.PPトレーニング群 :
周波数35〜40の振動を加えたPPトレーニング

B.ニセPPトレーニング群:
垂直正弦波振動を生じないように設定したPPトレーニング

C.筋力トレーニング群:
ステッピング、ランニング、レッグプレスといった従来型の筋トレ

D.対照群:
トレーニングを行わなかった。

試験開始時と12週の終了時に動的筋力・等尺性筋力・跳躍力(筋の瞬発性)を測定

結果① 膝伸展筋力の変化について

結果② 垂直跳び記録の変化について

この研究では、結果①から、A群>C群>B群の順に筋力が向上している。もっと言うならAとCの増加割合は統計学的な有意差を持ってかなり向上しています。しかしながら、結果②を見てみるとC群の跳躍力はほとんど変化しておらず、A群だけが有意に向上しています。

僕はこれについて、筋力の立ち上がり率(筋の立ち上がり速度)と深く関係していると考察しています。「筋力=跳躍力」と言う公式が成り立たないのは、ものすごい重量を持ち上げることができるウェイトリフティングの選手がすごいジャンプ力を持っているわけではないと言うことからもご理解いただきやすいかと思います。

跳躍やスタートダッシュ、機敏な方向転換といったクイックネス・アジリティーといった要素にとても大切になるのが筋力の立ち上がり速度です。短時間で、いかに瞬発的に大きな力を出すことができるかがクイックネス・アジリティーを高めるためには重要な要素となります。

今回の研究においてはBの「ニセPP群」は垂直方向の振動が正しく起こらないようにコントロールされていたとのことで、垂直方向の瞬発的な筋力発揮のトレーニング効果が乏しかったのだと思います。PPの振動は垂直方向と前後・左右の3次元振動ですから、そういった意味においては全方向の筋の立ち上がり速度を上げることができる、トレーニーの皆さんにとって非常に有用なマシーンではないでしょうか。

 

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